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早瀬とは同期だけど大学でも同じサークルだったので旧知の中だったりする。
「俺さ、愛來ちゃんには早くいい恋を見つけて欲しいんだよ」
「……早瀬」
「そろそろ前に進んだらいーんじゃないの?って俺は思いますよー」
早瀬があたしの頭に手を置く。
「あたしだって前に進めるなら進めたいよ」
2年前に当時大好きだった彼氏に浮気された上に捨てられてからあたしの心にはぽっかりと穴があいたまま。あんな奴のこと忘れようと思っているのにずっと忘れられずにいる。
元彼以外に目を向けてみようと頑張ったりしたけど、誰にも惹かれた事がなかったのに初めて誰かに心を奪われそうになってる。
「ちなみに如月さんは5つ上で俺たちの大学の先輩だよ」
「同じ大学の5つ上……」
「あっ、またあいつのこの考えてる!?」
「5つ上ならあの人のお兄さんと同じだなって」
「あぁ、泰志さん?」
「うん」
すぐになんでも元彼に繋げてしまう自分が嫌だ。
もう2年も経つのにずっと変わらない自分に呆れてしまう。
彼と出会った大学も卒業して、もうなにも接点がないからあたしく始める予定だったのに。
なんでこうしてすぐに接点をみつけては苦しくなってしまうんだろう。
はやく誰かこの呪縛を解いて欲しいってずっと思ってる。
「はやく愛來ちゃんが心の底から笑えるといいなって思ってるよ」
「ありがとう」
早瀬にはずっと話を聞きいてもらってるし官舎してもしきれない。
まさか会社まで一緒になるとは思ってもいなかったけどね。
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