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「あれ、よく会うねぇ」
「本当だ。お疲れ様です」
金曜日。
1週間頑張ったご褒美に外食でもしようかと街中をフラフラ歩いていたら、前から歩いてきた見知った顔にびっくり。
「あっ受付の子。なにお前、仲良いの?珍しいね」
「俺が女性と話すのそんなに変か?みんなに言われんだけど」
如月さんと歩いていたのは、米内さんで、元彼のお兄さんだ。
会ったのはもう3年くらい前だった気がするから「見たことがある」とは初対面の時に言われたけど気がする程度で思い出しはしないだろう。
「いやー、お前は変だ。なに、この子のこと気に入ってんの?」
「おい、変な風に言うなって。普通に可愛い後輩だと思ってんの」
「へぇー。自分とこの後輩ではないけどな」
「お前はいちいちうるせぇな。ごめんね」
あたしに申し訳なさそうな顔をしてくる。
「いえ、可愛い後輩と思ってもらえるなら光栄です」
「やっぱりさ、俺と会ったことあるよね?光栄ですって言われた気が済んだよ……」
「えっ……?」
あたしの脳裏に初めて元彼の家に行った時のこと思い出す。
たしかに「さとし智史の歴代彼女の中で1番可愛いねぇ」なんて言われて「光栄です」って言った気がする。
歴代彼女の中で1番可愛いと言われても浮気されるからいまとなってはなにも光栄じゃない。
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