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「あんなことがあってすぐ同じ部署で仕事することになるなんてなぁ……まぁ、早瀬もいるからいいか」 土日で頭を整理してきたはずなのに、全然なにもなくならない。 まだそこまで好きにはなってなくて、軽い気持ちのはずで、傷も浅いはずだったのにまさかこんなに心に残ってるなんて思ってもいなかった。 だってあたしはずっと心に元彼が残っているはずで、そのちょっとだけある隙間に如月さんが入ってきたんだと思ってた。 でも、元彼のことは別れ方がよくなかっただけでもしかしたら好きっていう感情とはもう違って執着なのかもしれない。 「おー、澤上さん。ヘルプありがとねー。おい、如月」 第一営業部の中に入ると気づいた次長の杉本さんが近づいてきたかと思うと、如月さんの名前を口にして「はい」と返事こきこえた方向をみると、如月さんがこちらへと歩いてくるのが見える。 「じゃあ、こっちきてもらえる?」 「……はい」 目が合わない。 あぁ、普段の彼の女性社員に対する態度ってコレなんだと気づくのには時間がかからなかった。 「如月ー、女性が苦手なのはわかるけど来てもらったことに対するお礼くらい言えよ」 「……ありがとうございます」 目は合わない。 「ごめんね、こういう奴だけど仕事はめっちゃ出来るから」 「いいえ、仕事しにきてるだけなんで。大丈夫です」 つい三日前までちゃんと捉えられてた瞳だったはずなのに、たった一瞬でいとも簡単にそれは崩れる。 いままでだって自分にだけはちゃんと話してくれていた如月さんだったし、あの日だってちゃんとまたタクシーに乗せてくれてお金だって出させて貰えなかった。 だから、今まで通りを期待してしまっていたけど現実はそんな甘くはなかった。
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