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「澤上さん、星那と喧嘩でもしたの?」
第一営業部のヘルプを初めてから少し経った木曜、ランチをしにいつものカフェに入ったら隣になったのが米内さんだった。
「そもそも喧嘩するような仲でもないですよ」
「いやいや、先週の金曜日は普通に話してたよね!?ヘルプに来たのにいまは最低限しか会話してなくない?」
「……ですね」
「えっ、急に声のトーン下がるじゃん。大丈夫?」
話し方が元彼と同じだなぁと思う裏で、ここ最近の如月さんとのやり取りを思い出す。
如月さんは今週はまだ2回しか出社してきてなくて今日はいない日だ。
いる日も業務的に必要なことだけを話す、本当に必要最低限。
完全に壁をつくられてる。
「如月さんの態度が変わっただけですよ。他女の子への対応と同じになっただけです」
「あー……」
あたしの言葉になにがあったのかを理解したらしい米内さん。
「多分いま、色々と整理ができてないだけだと思うからもう少し待っててやってくれない?」
「待つってなにをですか?」
「整理がついたらきっとちゃんと澤上さんに向かうと思うから」
「……向かうって、あたし別に好きとは言ってないですからね」
そう。あたしはあの時、ハッキリと気持ちは伝えてない。ただあたしの表情で気づいて距離を取られただけ。
「まぁ、いま混乱してるだけだから。な?」
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