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「おはようございます」
次の日から本格的な仕事がはじまった。
「今日はニコニコ座ってるだけで大丈夫!澤上さん、可愛いから社内の士気もあがるわね!」
「君塚さんはどのくらいここにいるんですか?」
「5年目になるよ!」
「あ、じゃあ……」
昨日の如月さんのことを口にしようとしてハッとした。
こっちが勝手にしっているだけなのに、もしあたしが彼のことを聞いてきたと知られたら気持ち悪がられてしまう。
「ん?どうかし……「おはよー」
君塚さんの言葉を誰かの親しげな声が遮って心底ホッとする。
「おはよ、泰志」
「……っ」
君塚さんの言葉にバッと顔をあげると「おっ、新しい子だ。はじめまして、俺米内」と挨拶をしてくる。
「澤上です、よろしくお願いします」
「なんか見た事あるような……」
あたしに顔を近づけて首をかしげたあと「こんな可愛い子忘れるわけないか」とケラケラと笑う。
「泰志ー?奥さんに怒られるよ?」
「やべー柚月にチクられるー」
米内さんは苦笑いしながらエレベーターへと向かっていった。
「まったく、可愛い子には相変わらず目がないんだから」
「仲良いんですか?」
「うん、同期なの。あともう1人と3人でよく飲みに行ったりしてたんだよね」
あと一人は多分如月さん。
まさかここにきて元彼のお兄さんの泰志さんも同じ会社だなんて思ってもいなかった。
元彼がこの会社にいなくてもう会わないことだけが唯一の救い。
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