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「泰志」
「げっ、星那」
「余計なこと言うな」
如月さんが米内さんの腹をグーで殴って「いてぇって」と米内さんはよろめいてる。
「大丈夫?二日酔いは?」
今日もちゃんとあたしのことを見てくれるらしい。
「……あっ」
「……!?泣い!?」
如月さんがちゃんと見てくれるのが嬉しくて仕方なくて気がついたらあたしの目からはポロポロと涙がこぼれ落ちてた。
「す、すみません。こんなつもりじゃなかったんですけど」
「うーん……仕事できる?」
「それはできます」
「じゃあ、終わったらちゃんと話そうか」
ポンっとあたしの頭に手を置いて「仕事しよ」って、執務室に入っていくので、あたしもそれに続く。
「星那がちゃんと話すってことは本当にちゃんと話すから。安心したらいいよ。あいつは興味のない人間のことは本当に徹底的に避けるからさ」
「……はい」
「ま、またメンタルやられることあったら相談して。1人で溜め込まないで、1人で泣かないこと」
「……なんであたしにそこまで言ってくれるんですか?」
米内さんとは昔1度あっただけで親しかったわけでもなく、ここまでしてくれるのが不思議で仕方がなかった。
「責任、感じてんだよ。俺が」
「米内さんが悪いわけじゃないのに。悪いのは全部智史です」
「あいつら引き合わせたのは俺だから。本当に悪いとずっと気になってた」
あたしに向かってもう一度「本当にごめん」って頭を下げてくる。
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