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「終わった?」
「はい」
「俺、1件外回りあるからちょっとカフェかどこかで待っててもらっていい?1時間位でいけると思う」
「分かりました。どこにいるか連絡しますね」
定時きっかり17:30に仕事を終えて、退勤準備をしていたあたしに声掛けてきた如月さんに、今日の約束がなくならなくてほっとしてしまう。
如月さんが外に出ていく後ろ姿を見てからあたしもカバンを手にして執務室を出た。
「あそこでいいか……」
目に入ったいつもランチで利用しているカフェに入る。
「いらっしゃいませー。おっ、ランチ以外珍しいですね!」
いつもランチの時に話しかけてくれる店員さんが、元気に出迎えてくれた。
「ちょっと人を待ってるので、コーヒーでも飲んでようかと思って。そういえば、好きな子とどうですか?」
「いやぁ、なかなか靡いてくれないんですよねー」
俳優を目指しながらここでアルバイトをしているという彼とは結構な頻度で会っていて、彼の恋愛事情なんかも聞いたりもして結構仲よくなっていた。
「コーヒーでいいですか?」
「はい、お願いします」
「ソワソワしてる感じしますけど、デートですか?」
「デート……といえばデートなのかな……」
もしかしたらハッキリと振られるのかもしれないけど。でも、目も合わせてもらえなくなるよりマシだ。
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