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「あ、如月さんだ」 友達のSNSの更新をみたりして、スマホの画面をスクロールさせていたら着信画面に如月さんの名前が表示された。 「おつかれ、終わったんだけどどこにいる?」 「いまは、会社前のいつものランチのとこです」 「おっ、わかった。いまからい「星那ぁ」……っ電話してるから黙ってくれって言ったろ」 聞こえてきた甘ったるい声に携帯を耳から外したくなった。 「ごめん、澤上さん。すぐ行けるから」 「大丈夫です。今日は帰ります」 聞こえてきた声にスっと心が冷えてった気がした。 「え?」 「すみません。じゃあ、また来週」 戸惑ったような如月さんの声は無視をして、そのまま電話を切る。 「外回りとかじゃなくて、あたしに会う前に好きな人に会いにいってたってことか」 それをとやかく言うような資格もない。 ただ笑えた。今日の話しで振られる可能性があるのは分かってたけど期待できちゃう可能性もちょっとだけ考えた自分がバカみたいで。 「分かってたじゃん。もうこの前から既に振られてるようなもんなんだから……飲みに行こ」 このまま素直に家に帰るなんてできなくて、少し歩いたところにある居酒屋のドアを開けて「1名で」って伝えたところでグイッと腕を引っ張られた。 「良かった……いた」 「……っ、なんで」 あたしを引っ張ったのは、息を切らした如月さんで、どうしてこんななんでもない女のことを見つけるために走ってきているのかわからなかった。
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