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「全然電話でないし、既読なんないし焦った……!」 まだ息を切らしている如月さんは相当走ってきたのだろう。 彼はスポーツをやっているし、走るなんてなんの事もないはずだ。 「え……なんで電話なんて?もしかしてあたし仕事でなにかやらかしてたり?」 「は?話しようって言ったろ」 「それはさっき断ったはずで「俺は納得してない。だいたいなんで一人でお酒飲もうとしてるの。また飲みすぎるから一人で飲むのは禁止」 あたしの言葉を遮った如月さんは「二名でお願いします」ってカウンターにいるお店の人に伝えてた。 「なんであたしごときと話するのにそんなに焦ってるんですか。別に週明けでもいいじゃないですか」 如月さんの焦ったような表情に、どこか揺れている瞳にももしかしたらなんて考えてしまいそうになるけど、必死にそれはないも否定する。 期待して突き落とされるのはもうゴメンだ。 「さっきはグループ会社に行ってて、莱久はそこの社員で俺がやってる案件の担当をしてて」 案内された席に着くなり、向かいに座った如月さんが息をつく間もないほど話し始める。 「ちょっ……なんの話しですか?」 「別に会いにいってたわけでもないし、仕事の話をしてただけだから」 「……えぇ?」
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