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「これが中学生の時の俺ら」
「あ、如月さん若い」
スマホの画面には如月さんとこの前の莱久さん、そしてよく似た男の子ともう一人の女の子が写っててみんな仲が良さそうだった。
「若いってか幼いだな。俺は物心ついたときからずっと莱久のことが好きで高校のときに1回付き合って、でも1週間くらいで別れたかな」
「意外に早いですね」
「うーん、壊された。に近い?」
「壊された?」
「こいつ、莱久のこと拗れるくらいに好きでさ」
如月さんがこいつと指さしたのは、莱久さんの双子の弟と言っていた男の子。
「俺と莱久が付き合ったことによって、こいつが荒れに荒れて……手付けらんくなって。俺と莱久が別れるならこーいうことしないって言ったんだよ」
「へぇ……姉に対してなかなかひん曲がった愛情持ってますね」
愛情というべきなのか、執着というべきなのか。
想像してちょっと震える。
「まぁ、あとは俺に対してもずっと敵対視してて」
「えぇ……そうなんですね?」
「結局、そのまんま別れて。俺は気持ちをきちんと消化出来ずに別れたから不完全燃焼で忘れることなんてずっと出来なくて」
なんて言ったらいいかわからなくて、相槌もなにもせずに聞き役に徹しようと思う。
目の前のお酒を口にしながら。
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