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「莱久さんとのお付き合いのトラウマですか……?」
恋愛する上でのトラウマは誰かと別れた経験があるならきっと少なからずあるだろう。
あたしだっ2年は前に進めなかったけど、如月さんはそれ以上進めてないんだから、怖くなるのも当たり前じゃないかなって思う。
「多分。でも、嫌だったんだよ。合コンで誰かに澤上さんが口説かれるとか、仲良くなるとか」
「えぇ……自分で行かせといて」
「ほんとな。想像したら嫌すぎるけど自分で蒔いた種だしと思って、とりあえず正力に頼んだ」
「……っ、嘘だぁ」
目の前にいる如月さんが嘘をついているような表情はしてなくて、あたしいま正直な気持ちを聞いてるんだって思ったら目頭が熱くなってくる。
「で、昨日莱久にもう俺のことは呼ぶなってそれだけ言って帰ってきた。もう俺は莱久の寂しさを埋めてやれない。澤上さんのことが好きだから」
「……っ」
「また泣かせちゃった」
「これは嬉し涙だからいいのっ」
「そっか、嬉しいんだ」
ふっとわらって、あたしの頬を伝う涙を拭っていく。
「さっきのは本当に仕事で会っただけだから。あと、もうひとつ俺が澤上さんを気になった理由言っていい?」
「……ん?」
そんな断りを入れる如月さんに首を傾げる。
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