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「……ですね。なんか不思議です」 「たしかに、いっつもお酒飲んでるよな。主に澤上さんが」 可笑しそうに笑う。 「そんなことはないです」 「あるだろ。初めて飲んだ日から毎回お酒飲みすぎてる」 「ちょっとすぐにお酒に逃げたくなっちゃうんですよね……」 「そんな逃げたくなるような事を俺がしてたってこと?」 エレベーターのボタンを押しながら、如月さんがあたしの顔を覗き込む。 「それは、まぁ……」 「まぁ2回目はわかる。俺が気まずい空気にしたからな」 「いや、あたしがあんなこと言ったから……」 「お互い譲り合ってどうするってな。あ、着いた。あとからご飯食べながらでも理由聞かせてよ」 ポンッとあたしの頭を撫でて、展示会へと足を進める。 「このチケットもらったときな、澤上さんと行きたいって真っ先に浮かんだんだ」 「……え?」 「名前知って絶対親が好きなんだろうなって思って。いや、違う可能性もあったんだけど、絶対そうだっていうなぜか確信があってさ」 展示を見ながら、あたしの方は向かずに照れくさそうに話す。 「……そうだったんですね」 「貰ったのは昨日なんだけど、話したらこれ誘おうって決めてた」 如月さんがあたしのことを考えてくれていたとに胸がとくんとなる。 「だから、帰るっていわれたとき本当に焦った。俺の中では今日ここに来るビジョンが出来上がってたし」
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