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「あたしに予定があったらどうしてたんですか」 なんとなく照れくさくて、揶揄うようなことを言ってしまう。 「いや、絶対に来てくれるって確信があったんだよね」 「すごい自信」 「おっ?」 如月さんが1枚の写真の前で止まって「実家にこの写真ある」って言う。 その写真はとあるレースの時の写真で、自分の脳裏でも見たことのあるような光景だった。 「あたしの家にもこの写真ありました」 「おっ、ファンはみんな持ってる写真なのか?」 「たしか、没後何年だかのイベントに行った時に買った写真って言ってました。あたしも連れてったらしいですけど小さくてよく覚えてないです」 「あー……俺も連れてかれた。それ」 ファンはみんな行くものなんだなぁと思いながら母親から聞いた話が甦る。 「そういえば、そのイベントで一緒になった年上の男の子に大きくなったら結婚するって言ったらしいですよ。恥ずかしい思い出です」 全然記憶もないその話だけど、自分で口にして恥ずかしくなってしまって、その写真の前からはやく立ち去ろうと次の展示へと足を進める。 「……え、本当に?」 なぜだか顔を赤くして立ち止まる如月さんに首を傾げる。 「え?」 「それ、俺がそこで小さな女の子に言われた言葉なんだけど」 「……へ?」
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