1

5/8

83人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「あれ、受付の新人ちゃんだよね?」 入社して1週間。 お昼の休憩にと最近お気に入りの会社の近くのカフェに入ろうとすると後ろから声をかけられる。 「……っ、あっ!はい!」 「ごめんね、突然。前に見えたもんだから」 「とんでもないです……あっ、澤上愛來といいます」 「なんかガチガチじゃん。俺は如月星那(せな)。ね、相席してもいいかな?少し話そうよ」 「あっ、はい……もちろんです」 終始ガチガチなあたしに笑いながらも彼は「2名で」と店員さんに告げる。 まさかこんなとこで一緒にご飯を食べることになるなんて思わないし、化粧直しとかしてくればよかったなんて内心思う。 「いつもここで食べてるの?」 「そうですね。最近のお気に入りです」 「俺も。こっちでお昼食べる時はここ。美味しいよね」 「はい、特にサンドウィッチが美味しくて堪らなくて」 「わかる、絶品だよね」 ふっと笑う如月さんに胸がとくんとなる。 「あ、これとこれもオススメ」 「そうなんですか?今日はこれにしてみようかな」 メニューをさす指は結構ゴツゴツしてるように見えて、いつかその手を触りたいなんて思ってしまうとか結構重症だと思う。 「早瀬と同じ大学なんだって?」 「はい、サークルも一緒で。結構仲良いです」 「そっかー。俺もあそこ出身だから澤上さんは可愛い後輩だな」 ニコッと笑ったあとに「可愛いとかセクハラか?」って焦ってる。 気さくな如月さんに最初のガチガチは取れた気がする。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加