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「あっ、お母さんと……抱かれてるのはあたしだ」 スマホの画面に映っていたのは、1枚の写真をスマホで写したもの。 そこにはだいぶ幼い如月さんとその家族。そして、あたしとお母さんがいた。 「じゃあ、本当に澤上さんか……すごいな」 「……すごいですね」 こんな偶然があるだなんて思ってもいなかった。 あの時「結婚すると言い張って、知らないお兄ちゃんから離れないから困ったんだから」ってお母さんに言われたけど、幼すぎてあたしは覚えてる訳もなく、でも時を経て本当に恋をしているなんて。 「……じゃ、この可愛い女の子の願いを叶えようか?」 「それじゃあ結婚することになっちゃいますよ」 「まぁ、それはおいおいね。結婚の前段階のお付き合い初めてみようか」 そっとあたしの手を握る。 「如月さんは、もう元カノさんはいいんですか?」 「まーったく未練がないと言ったら嘘になるよ。でも、全く望みもないのも確かで。いつまでも不毛な関係続けるよりも俺のことをちゃんと見てくれる女の子と一緒がいいよ。こーんな小さい頃から」 「……っ、無理だと思ってました」 気持ちを伝えたら、気まずくなって。目も合わなくて。その時のことを思い出したら心の中がつめたくなってしまうけど、いま目の前にある手は暖かくて、その体温を感じるだけであたしの気持ちは浮上する。
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