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「え?」
星那の表情は困惑の顔をしていた。
そりゃそうだろう、急に彼女がイチャイチャしていたのに「帰る」と言い出したんだんから。
「ごめん、今日は帰らせて欲しい」
星那は何も悪くないって分かってる。
でも、自分がいままで経験したなかで1番辛いことを嬉しそうに話すのが自分の恋人なんてたえられるものじゃない。
「え?俺、なにかした?気に触ること言った?」
「ううん」
「じゃあ、なんで?急に」
「帰りたくなったの」
「だから、それがなんでって聞いてるじゃん」
少しイライラした様子であたしの腕を掴む。
「嫌だ!」
今は何もかもが受け入れられなくて、反射的に星那の腕を振り払ってしまう。
「……ごめん」
振り払われた手をショックそうに見つめて、そして何も悪くない星那が謝る。
「何に謝ってるの?」
星那は何も悪くないのに、星那に向かってこんなに低い声が出るなんて思ってもいなかった。
「しつこかったかなって」
「星那なにか悪いことしたの?」
「した覚えは無い」
「わかってないのに謝らないでよ!」
どうにもならない感情が支配して、言いようのない感情が溢れる。
そのまま、立ち上がって少しはだけていた服を直す。
「まって、マジで帰るの?」
あたしの服を遠慮がちに掴む。
「ごめん、今日は帰りたい。一緒にいたら多分酷いこと言っちゃいそう」
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