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「もしも智史が愛來のことをまだ好きだとしても、俺と一緒にいる気持ちは変わらない?」
「……え?そんなわけなくない。あたしが振られたんだよ?」
「もしもの話」
「ないよ。星那と出会ってやっと前に進めたの。あたしは星那が好きなんだよ。そんなこと言ったら星那だってそうじゃん。まだグローブも変わってないくせに」
こんなことを言うけど別に変えてほしいわけでもない。
感覚とかずっと使ってるものとか、スポーツ選手にしか分からないことはあるだろうしあたしだ口を出すべきでは無いことはわかってる。
でも、そう言われたらあたしだって黙ってられないもん。
「ごめん、しっくりするのが見つかんなくて……でもストラップは外した!」
「うん、すぐに外してくれたの分かったよ。嬉しかった」
付き合いはじめて、はじめて会った星那の携帯にはずっとついていたストラップがなくなってて、あぁ本当にあたしは星那と付き合い出したんだって実感したんだよね。
「よし、じゃあ行きたいとこがある」
「どこ?」
「俺らが前に進むために行きたい。このまま何も言わずに着いてきて欲しい」
エンジンをかけた車が動き出す。
どこに行くのかわからないことに一抹の不安あるけど、星那がやることは信用できるから変なところではないとわかってる。だから、黙って星那に全面的におまかせすることにした。
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