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「ちょっと……星那、ここ!?」 星那が車を来客用の駐車場に停めたマンションには嫌ってほど見覚えがあった。 2年前まであたしがほぼ入り浸ってたようなマンションだった。 できるだけ一緒にいたいという智史の要望に応える形で、姉と住んでいる自宅ではなく智史のいる部屋へと帰ることが常だった。 2人でご飯を食べて笑いあって幸せな日々だったのにそんな日々の終わりを告げられたのもこのマンションだった。 「ごめん、ほかに好きな人が出来た。実はもう付き合ってる」なんて言われたあの時の喪失感とやらは言葉にできない。 「愛來も智史もケジメつけた方がいいと思うから、連れてきた」 「ケジメって……あっちはとっくに関係ない人になってるでしょ」 つい最近まで全然忘れられなかったあたしとは違って、別れを告げたのはあっちだからもうその日に全ては終わってるはずなんだ。 「それでもいい。俺と愛來がこの先も一緒にいるために。頼む」 あたしに頭を下げて、そのまま抱きしめる。 「……わかったよ」 もう二度と智史と会うことはないと思ったのもつかの間、またすぐに会うなんて……とは思ったけど、あまりに星那が懇願するから折れてしまった。 どうして智史に会うことがあたしと星那の未来に繋がるのかはわからないけど。
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