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「うん……」
「出たらすぐ車だし、今誰もいないし泣いて大丈夫だよ」
あたしが我慢してることにきづいていたのか、あたしの頭をくしゃっと撫でる。
「……今好きなのは星那だよ。でも、当時のことを思い出して……」
「わかってるよ」
涙が溢れてくるあたしの頬を両手で包み込んで「我慢しないで」って微笑む。
星那の言葉に堰を切ったように涙が出て止まらなくなる。
星那はそんなあたしを優しく包み込むように支えてくれた。この人のことがとんでもなく好きだと思うのに、さっき智史に「終わり」って言われたときとてつもなく胸に痛みが走った。
智史になんてもうずっと会ってなかったのに、もうきっと会うことがないと言われた気がして寂しくなった。
この感情をなんと言えばいいかわからないけど、今日のことは必要な事だったとは思う。
「俺以外に抱きしめられるのはこれが最後な」
あたしのことをぎゅっと抱きしめて「分かってても結構嫌なもんだったわ」っていう。
「俺も愛來もこれが最後の恋でありたいって思うよ」
あたしの頭をなでてチュッと触れるだけキスをする。
「あたしもこれが歳後の恋にしたい」
「最初の相手にはなれなかったけど、最後の相手で入れるよう頑張るから。ダメなところがあったら言ってほしい」
「……うん」
きっとこの人と一緒なら大丈夫だって思えたから特に言葉は必要なくて。
ただ相槌を打っただけだけど、星那は満足そうに微笑んでくれていた
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