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「なんか嫌だったんだよね。野球やってるからできないって判断されるのが」
「……え?」
「どうせ仕事出来ないって目で見られるのがすごく嫌でさ。出社できるときはガムシャラにやってたらいつの間にかこうなってた」
「……すごい。練習や試合もあって大変なのに」
素直にカッコイイと思った。
クラブチームは日中仕事をしてから、終業後に練習をして土日に試合という話を聞く。
でもうちの会社はクラブチームではなく、企業チームというやつ。
企業チームに所属してる人は練習や試合のほうか優先というかそのために会社も雇ってるからそこまでの仕事はしなくてもいいはずなのに。
この人はそんな立場に甘んじることもなく、きちんと社会に溶け込んでいる。
「練習は午後からのことが多いから午前中だけでもとかって頑張ってみてるよ。そしたら野球部の他の奴らへの見る目も変わってさ、応援してくれる人達が多くなって。間違ってなかったんだなって思ったよ」
「すごいですね……尊敬……」
もしもあたしが同じ立場だとして、自らその立ち位置に行くことなんてしないと思う。
仕事をそんなしなくていい環境に胡座をかいているはず。
「尊敬なんてほどのものじゃないけどね。今度試合見においでよ」
「あっ、はい!行きたいです」
見てみたいと思った。
如月さんの普段とは違う姿。
普段の姿すらそんなに見た事は無いけど、今日初めて話して如月さんのことをもっと知りたいと思ってしまった。
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