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「なんだよ、営業サマって」
「もう今日は一緒にランチ食べるのやめよ。気分よくない」
「待てよ、この状況で離れるとすんな「あれー、受付の子じゃん。全然連絡くれないよねぇ」
星那が背を向けようとしたあたしの腕を掴んだとき急に聞こえきた声に顔を上げる。
「牧野さん!」
「おっ、名前覚えてくれたの?うれしー」
「いや、会ったばかりですし……」
「ふーん、で、痴話喧嘩中?どこかで見た事ある顔と思ったら星那じゃん」
あたしと星那を交互にみて微笑む。
「……雷人」
彼の名前を口にした星那はなんとも言えない顔をしていて、この2人は多分ただの仕事上の付き合いじゃないなと感じ取る。
「この子が莱久を1人にしてまで選んだ女ってことでオッケー?」
「1人にしてっで別に1人ではないだろ。彼氏いるしそれで寂しいんならお前だっているだろ」
2人にはなんだか火花が飛び散っているようにみえて、星那とこんな風に絡むようひとをなかなか見ないので少し意外に思う。
「俺で寂しさが紛れんならいつでも行ってやるけど、お前じゃないとダメだから言ってんだよ」
「俺は愛來を裏切るつもりないから。莱久のとこに戻るつもりはない」
言い切る星那にさっき怒ってた気持ちは溶けていく。結局はあたしは星那のことが好きなのだ。
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