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「そういえば、同じホテルにスターラッシュのメンバー泊まってるらしい!」
朝食会場で隣に座ってきた早瀬が無邪気に話す。
「え?そうなの?」
「うん、今日こっちでライブらしいよ」
スターラッシュは人気ロックバンド。
そんな人たちと同じホテルなんて別に好きじゃなくてもちょっとテンションあがってしまうのはわかる。
「愛來さん」
「莱久さん……」
早瀬と話しながらご飯をたべていると隣に莱久さんがやってくる。
「昨日はごめんなさい」
「え?」
こんなに素直に謝られるとは思ってなくて、戸惑ってしまう。
「あなたが羨ましかっただけなの。別に星那を奪おうなんてしてないの」
「……星那のこと好きなんじゃ?」
「星那のことは多分ずっと好きよ。でもね、もっと大切な人も今はいるの」
薬指についてる指輪に触れる。
「それは、彼氏……から?」
「うん。その彼氏が忙しい人でなかなら会えなくて。いままでは星那がいたから寂しくても大丈夫だったんだけど、紛らわせなくなっちゃってどうかしてた。本当にごめんなさい」
あたしに向かって深々と頭を下げるから慌てて「上げてください」ってやめてもらう。
「ねぇねぇ、スターラッシュの人達隣りの会場でご飯食べてる!みえちゃった!」
だれかが発した言葉は結構大きくて、朝食会場内はザワザワと騒がしくなる。
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