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「KRYって如月さんとこ!」
どうやら会社関係の飲み会らしい。
自分の彼氏の名前が出るとは思わなくて口ごもりそうになったけどとりあえず「はい、そうです」と答えておく。
「如月くんはまだ来ないの?」
「ちょっと遅れるって」
「え、せ……如月さんも来るんですか?」
出張に行ってるはずの星那の名前がでてきて、思わず名前を呼んでしまいそうになったけど、すぐに言い直す。危なかった。
「うん、今日はあたしの送別会でね。関係ある取引先の人も呼んだの。如月くんは出張中だから、少し顔出してまた帰るみたいだから忙しいところ申し訳ないんだけどね」
「……そうなんですね。楽しんでください!」
それだけ言って、自分のテーブルへともう一度向き直る。
うん、上手く笑わえてたと思う。
「聞いてないんだけど……」
「ん?何が?」
ボソッと呟いたことが和歌に聞こえてたみたいで、慌てて「なんでもないよ」って否定して目の前のお酒に口をつける。
「ちょっとそれ、愛來のじゃないよ!北条さんの!」
「えっ、ごめんなさい。北条さん」
ぎょっとした顔をする和歌の言葉に慌てて隣の北条さんに頭を下げる。
「まだ口付けてなかったしきにしないで。また頼めばいいし、澤上もそれ飲み干したみたいだし新しいの頼もう」
さすがは先輩。
サラッとメニューを差し出してくる。
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