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「ごめん、仕事終わってすぐ車乗ってきたから連絡できなかった」
「会いたいって思ってたのはあたしだけ?」
星那の表情をみれば嘘をついてないことくらいわかるけど、そこで「そっか」なんて言えるほどあたしは物分りのいい彼女をやってないから。
「そんなわけないだろ。いつだって愛來に会いたいと思ってるよ」
「会う時間なくたっていいから、こっちに帰ってきて飲み会に参加することくらい教えてほしかった」
「ごめん。俺の勝手な判断で報告しなくていいって決めて」
キュッと眉を下げて申し訳ない顔になる。
「さっきN社の人に星那が来ること聞いたの」
「そうだったんだ」
「知らなかったことがすごく寂しかった」
あたしの言葉に星那の手が伸びてきて頬に触れる。
「ごめん」と呟いてから「自分の範疇で決めるべきじゃないな、ほんと」とあたしの顔を覗き込む。
「愛來に会いたく無い気持ちなんて一切ないから」
「……うん」
そのまま星那の唇が降ってくる。
「さっき智史の向かいに愛來がいて正直焦った」
「ゼミの飲み会なんだけど、あたしと別れてから一度も来たことなくて、智史。だから今回も来ないものだとおもってたんだ」
「2人に何も無いのはわかってるよ。でも、やっぱり智史は今も愛來のことすきだから。焦るよね」
はぁーっとしゃがみこんで「俺、だっせぇな」って言う。
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