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「い、イザベラ……でも、すべての回復薬は私が作っていて……」  思わず声に出してしまった私を、イザベラがぞっとするほど冷たい笑みで私を見下ろした。 「なにを言ってるの? お義姉様のどうしようもない回復薬に祈りを捧げて、上級の回復薬にしているのは、わたくしなの。お義姉様のような回復薬を作るなんて誰にでもできるわ」 「…………っ」 「回復薬よりも、自分のことを考えたほうがいいのではなくて? 薄汚い身なりに貧相な身体では、追い出されてしまうかもしれないわ。ふふ、追い出されても帰る家なんてないから、精々頑張ることね」  はっきり言われて言葉を失った。  マローラ子爵家の回復薬は私がすべて作っている。イザベラの『聖女の回復薬』も私の作ったものに、イザベラが祈りを込めてイザベラの魔力と同じピンク色の上級回復薬にしていた。  出来損ないと呼ばれていても、少しは役に立っていると信じていたのに。イザベラにハッキリ否定されて、わずかに残っていた矜恃も粉々に砕けていく。 「出発は明日よ。馬車の中で眠れるんだから、徹夜して作れるだけ回復薬を作っておいてちょうだい」 「……はい。わかりました……」  小さな鞄を私に投げつけ、嬉しそうに笑うイザベラの顔は、涙で(にじ)んでいった。
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