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「食事の時間なのに連れ回してしまって、すまなかった。辺境騎士団の食堂で食べてもいいだろうか? シャーロットをみんなに紹介したい」
身体がびくんと跳ねた。
アーサー様は優しいけど、副団長のレオン様は怖い。回復薬を持ってくる約束を破ったのは私だから仕方ない。それでも、辺境騎士団のすべての人に怒りを向けられることを想像したら、ぞくりと背筋が凍った。
「大丈夫だ。回復薬を持参すると知っていたのは、俺とレオンだけだ」
「ほ、本当ですか……?」
身震いしている私を安心させるように、アーサー様はゆっくりうなずいた。
「俺のかわいい婚約者を、みんなに自慢させてくれないか?」
「…………か、かわいい?!」
「ああ、かわいい」
「揶揄わないでください……っ」
婚約者だったハウエル様にも一度も言われたことのない言葉に、顔に熱が帯びていくのがわかる。思わず両手で顔を覆った。
「駄目か?」
優しく手を解かれて、私の赤らんだ顔をアーサー様が覗き込む。小さく首を横に振っただけの返事に、アーサー様はありがとう、と嬉しそうに笑った。
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