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なんという妙竹林な夢だ。どうせ起きたら忘れているんだろうけどね。
そうだ。夢だとしたら会えるかもしれない。
僕は寝室を出ようとした。が、ここで問題が発生。出入り口の襖が閉まって出られない。いつもなら引き手に手を掛ければ難なく開けられるのに、この翼ではどうしようもない。そもそも位置が高過ぎる。さて、どうしたものか。
よく見たら襖と柱の間に僅かに隙間がある。ここに嘴を突っ込んで強引に開けるしかない。
僕は隙間に嘴をねじ込み、こじ開けようと試みた。襖が重たい。こんなことなら敷居に蝋を塗って滑りをよくしておくんだった。
だがなんとか頭を出し、その勢いで胴体も無理矢理通り抜けた。
その後、踏み慣れない鉤爪で広々とした家の中を歩き回った。
台所、客間、縁側、玄関。最終的に行き着いたのは、床の間にある仏壇の前。
僕の最愛の人は、いつものように遺影の中で頬笑みかけていた。
……なんだ。夢の中くらい会わせてくれよ。まあ会ったところでこんな姿じゃ僕だと気付かないか。
習慣的に柱時計に目をやる。午前7時45分。少々寝過ごしたか。そろそろアイツも起きてくる頃だとは思うが。
ああいや、これは夢だったな。しかしカラスになっている以外はやけにリアリティのある夢だ。
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