第49話 犯人をおびき出せ

1/1
前へ
/65ページ
次へ

第49話 犯人をおびき出せ

チサ・ノマージュ料理教室。 小さな男の子が保存食から見たことのない料理まで教えます。 会場、サーダルリアー内食堂。 第一回、日付〇月〇日 第二回、〇月〇日 こんな張り紙をあちこちに貼りました。でもからくりはあるのです。 「おい、すぐに知らせろ、フフフ、そっちからくるのだな」 「まさか、間違いなんて」 「そう思うのなら、のぞいて来い、こっちは作戦会議だ」 「きますかね?」 「来るだろう?」 「こんなんで来るのかな?」 「くるさ、はふ、あち」 俺たち四人は、食堂の端で、タコ焼きを食べていた。 今日は変わり種、チーズも入れてもらっちゃった。 「はふ、はふ、なんで?」 「冬が近いから」 エーッと三人が僕を見た。 三人のたこ焼きを一個ずつ取り上げた。 あー! なにすんだよ! チー、返せ! 「普通の反応はそう」 何がだよ。 とったら取り返す、それができないのは? 「ン?どういうことだ?」 「弱みを握られてる、かえしてもーらい、はふはふ」 「弱みだけかな?もしかして、どうでもいいとか?」 「んー」 「考えてる間に取り返す、アーム」 「人間嫌いだしな」 「ん?」 「ミハエル、何かあんのか?」 「それだけじゃない、あの国じゃないけど、俺が知っているところに教会がなかった、だから逃げたんだ」 教会がない? 「じゃあ逃げるところもなきゃ預けるところもないんだな」 預けるところ? 預ける、預ける、そうか! 「ミハエル、これやる」残ったたこ焼きを押し付けました。 「え?チー、どこ行くの?」 「司祭様のところ、聞きたいことがある」 「俺にも、モーライ」 「あー、ジャル、食いすぎ」 教会のミサの時、張り紙の話をこの町の人には話してあります。地元に広めてほしいと。 そしてその日は絶対教会へ来ないでねって。来てもみんなの知っていることなので、知らない人に教えたいといってあるのです。 「いた、司祭様ー」 私は、その話をキリンさんにしました。 「いや、教会はある、届は出ておる」 ナストールに同じ教会がある?でも、人が行くことができなくてミハエルはここへ逃げてきた、もしもほかにもそんなことが起きてるとしたら? 「いや、そんなことは?」 といった後、顎をさすりながら、考えられるか?といったんです、どういうこと? 「それを調べるにはどうしたらいい?」 「どうするって、そこへ行けばいいが、まさか、チサ、一人で行こうなどと」 ニーッと笑った。 ダメだ、絶対だめだからな。 どうして? 距離の問題、大人でも一か月以上はかかる、もう一つ。 「この国には我ら、ゲネスという全知全能の神を置く、ハレス教会がある。だが、その、案外若い宗教なんだ」 若い? ハレス教会は昔々にここへ来た殉教者が広めたものなんだって。 それでも数千年たっているでしょ? それでもだ。 ドニール国とナストール国に挟まれた東側にある小さな国。正アルリア教を名乗り。ひとつの小さな独立国家を築いているアルリア聖公国こっちはもっと若いそうだ。 ん?まさか、んー、そんな国向こうにもあったよなー…思い出せん。 司祭様の話によれば、お金第一で、金持ちしか相手にしないんだとか。教会を名乗るからには王様は教皇様と呼ばれているし、私どもよりもっと細かい階級がある、兵士もいる。ただ、民と呼ばれるものも何か知ら教会関係。「何とも私どもの思想からはちょっとかけ離れたものでの…」 その教会だから助けてくれなかったというわけですね? まあそうかもしれないが、たぶんここのほうが近かったからではないだろうか? ここが近い? ハレス教会があるにはあるのだが、東の端に追いやられてしまったのだという。 なんで? 王様が、正アルリア教の信者らしいというのだ。 ふーん。 「仲はよくないからな、悪いが、かかわってほしくないのだよ」 そういうことか。 「わかりました、ねえ司祭様」 ちょっと耳を貸して。 なんだ? もうかってまっか? 儲かる?あははは。うん、うんと首を振っておられました。 良かったです。 儲かっていると言ことはアルリア教団は収入がないとすぐに思った。貴族、金持ち商人だけを取り入れているのであれば今は困窮しているだろう。 彼らは食べ物を求めこの地に集まってきている教会の食堂、外もだが、金持ちが貧しい者たちをないがしろにする姿は明らかにみられている。 これで一つ分かった。 オールト国は狙われてはいない。 また国同士の戦争も今のままではありえない。 あるとすれば、国内。 それも、わざと外から仕向けているように見せかけている、それだけだ。 狙いは私。嫉妬だろうか? 誘拐か、殺人か。 サー、どうなるかな? 料理教室当日。 教会内の子供や、体の不自由な方、若い女性たちは全員長老の屋敷に避難。 豆腐店と食料品売り場の店員だけは残ってもらっています。買い物に来る人たちは別ルートで来てもらいます。 兵士やうちの屋敷で働いている人たちが、教会内に来る人に紛れ込みます。彼らが捜すのは、変な動きをする人、アルリア教団の服装の人たち。 人はどんどん入ってきます。 僕とニーニは、コックさんの格好です、その中には、もしもの事を考えて、帷子を着ています。 何かあったら僕を置いてでも逃げてよね。 そんなことさせないからな。 そうならないことを祈るよ。 「ああ、祈っておいてくれ、行こう、ニーニ」 パチパチと拍手の中を進みます。 おー、見事に、豚さん?熊さんもいるではありませんか?ほかの方もちらほらですが…。 あっ。 ニーニ、どうかした? オールトの王様とお付きの人がいるというのです。どこどこ? 爺ちゃんの隣にいるという、あれ? なに? ウィリアム叔父さん、シャルルもいるー。 王都にいる長老の右腕?あの人が?爺ちゃんそっくりな人が隣に座っていたのでした。 「チー時間!」と教会の子です。 「ニーニ行こう!」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加