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こんなにあっさりと外に出られたことに拍子抜けする。
あんなにどうやって逃げだそうか悩んでいたのに…
万が一いなくなっても構わないと思われているのかな。
しかも、お小遣いまで持たせてくれた。
好待遇で逆に申し訳なくなる。
城門を出ると、西洋風の建物が並んでいた。
この景色を見るとさすがに、セットではないのだと実感する。
本当に異世界にきてしまったんだ……
あぁ、私も魔法が使えたらな。
街並みを見て歩くのは思いの外楽しくて、夢中になって歩き続けた。
元々歩くのは苦ではなかったので、ひたすら歩き続けるといつの間にか街を抜けていた。 そうして気がついたら、鬱蒼と木々がしげる森の中を彷徨っていた。
道に迷ったら大変。
そろそろ引き返した方がいいかもしれない。
と思った時にまた、あの時のような感覚に襲われた。
「!!」
一瞬の出来事だった。
地面が突然消え失せたかと思うと、急降下していく。
叫び声を上げる余裕もなくどんどん転落していく。
助けて! 今度は本当に死ぬのかもしれない……
恐怖から目をつぶっていると、
身体中にありえないくらいの激痛が走った。
落ちたのだと認識したものの、
そのままぷつりと意識が途絶えていた。
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