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私は、散歩していたと思うのですが…』
「こんな所に人がいるとは思わなかったのだ。この辺りは滅多に人は通らない。」
憂いを含んだ眼差しで私を見つめながら、男性は訥々と語り始めた。
どうやら男性が魔法で作った穴に、私が落ちたということ。
意識不明で酷い怪我だったので、早急に応急処置をしてくれたこと。
治療により傷は消えているが、痛みの感覚は残ってしまうということを。
命を落としていたのかもしれないという事実に、今頃になって恐怖が蘇る。
私の怪我の原因を作った人物でもあり、命の恩人でもある男性に心から感謝の気持ちを伝える。
『助けていただき、本当にありがとうございました。』
「いや、こちらの責任だ。本当にすまない。ご家族も心配されているだろう。
痛みが治まれば家まで送らせて欲しい。
ご家族にも私から説明させて欲しい」
『いえいえ大丈夫です!
家族は、いません……ここには…』
私は、しどろもどろになりながらも、強い口調で返答する。
「一人で暮らしてるのか?」
『いえ……』
気がついたら異世界に召喚されていたのです……それで
お城でお世話になっています
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