3

2/3

37人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
私は、散歩していたと思うのですが…』 「こんな所に人がいるとは思わなかったのだ。この辺りは滅多に人は通らない。」 憂いを含んだ眼差しで私を見つめながら、男性は訥々と語り始めた。  どうやら男性が魔法で作った穴に、私が落ちたということ。 意識不明で酷い怪我だったので、早急に応急処置をしてくれたこと。 治療により傷は消えているが、痛みの感覚は残ってしまうということを。 命を落としていたのかもしれないという事実に、今頃になって恐怖が蘇る。 私の怪我の原因を作った人物でもあり、命の恩人でもある男性に心から感謝の気持ちを伝える。 『助けていただき、本当にありがとうございました。』 「いや、こちらの責任だ。本当にすまない。ご家族も心配されているだろう。 痛みが治まれば家まで送らせて欲しい。 ご家族にも私から説明させて欲しい」 『いえいえ大丈夫です! 家族は、いません……ここには…』 私は、しどろもどろになりながらも、強い口調で返答する。 「一人で暮らしてるのか?」 『いえ……』 気がついたら異世界に召喚されていたのです……それで お城でお世話になっています
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加