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などと答えたら、きっと頭のおかしい人だと思われてしまう。
この方には、変な人だと思われたくない。
『お世話になってる所がありまして、そろそろ帰らないと…』
あまり詮索されないように言葉を濁して返答する。
「もう少し休んでからの方がいい。
心配せずとも私は隣の部屋にいる。後から送っていこう」
そう言うと男性は隣の部屋へと姿を消した。
誠実な人だな。
急に一人になり淋しさを感じる。
男性が入っていった部屋の扉を名残り惜しむように見てしまう。
痛みと体のだるさが酷い。
私は、もう少しだけ休ませてもらおうと思いそっと瞼を閉じた。
こちらの世界に来てからというもの、見ず知らずの方にお世話になってばかりだ。
段々と自分の警戒心がなくなっている。
優しい人達ばかりに巡り会う。
色々と勘繰り疑う自分が情けない。
いつのまにか深い眠りへと誘われて、ぐっすりと眠っていた。
どれくらいの時間がたったのだろう。
眩しさを感じて目を開けると、すっかりと明るくなっていた。
思いがけずに熟睡して気分もすっきりしていた。
エレナさん心配しているかもしれない。
頭がクリアになるにつれて、お城の人達に連絡していないことが気がかりになってくる。
捜索されていたらどうしよう…
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