4

1/4

37人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ

4

「入っても大丈夫か?」 「は、はい」 ノックの音の後に、昨日お会いした黒髪の男性が入室してくる。 慌ててベッドから上体をおこし、乱れた髪を手で整えた。 きれいな人だな…… ゆっくりとベッドの傍まで近づいてくる男性に見惚れて、思わず目で追っていた。 「そのままで大丈夫だ。よく眠れたか? 洗面所はそこだ。自由に使うといい。」 『おはようございます。あの、すみません。ご迷惑をおかけして』 「迷惑などかかっていない。名乗るのが遅くなったが、私はルイだ」 『ルイ様。私は倉持 サヤカと言います』 「くら……聞き慣れない響きだ」 「えっと、サヤカです。サヤカと呼ばれています」 エレナさん達も名乗った時に、戸惑っていたことを思い出した。 日本風の名字は言いにくいのかもしれない。 人間離れした容姿のルイ様と、こうして面と向かってお話するだけでも緊張してしまう。 ほんのりと顔が紅潮してしまうのを、気づかれないといいのだけれど。 「サヤカ嬢か。」 ふっと軽く微笑みを浮かべながら、ルイ様に自分の名前を呼ばれてドキリとする。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加