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「入っても大丈夫か?」
「は、はい」
ノックの音の後に、昨日お会いした黒髪の男性が入室してくる。
慌ててベッドから上体をおこし、乱れた髪を手で整えた。
きれいな人だな……
ゆっくりとベッドの傍まで近づいてくる男性に見惚れて、思わず目で追っていた。
「そのままで大丈夫だ。よく眠れたか?
洗面所はそこだ。自由に使うといい。」
『おはようございます。あの、すみません。ご迷惑をおかけして』
「迷惑などかかっていない。名乗るのが遅くなったが、私はルイだ」
『ルイ様。私は倉持 サヤカと言います』
「くら……聞き慣れない響きだ」
「えっと、サヤカです。サヤカと呼ばれています」
エレナさん達も名乗った時に、戸惑っていたことを思い出した。
日本風の名字は言いにくいのかもしれない。
人間離れした容姿のルイ様と、こうして面と向かってお話するだけでも緊張してしまう。
ほんのりと顔が紅潮してしまうのを、気づかれないといいのだけれど。
「サヤカ嬢か。」
ふっと軽く微笑みを浮かべながら、ルイ様に自分の名前を呼ばれてドキリとする。
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