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せっかくのルイ様の申し出を、断り続けるのも…… 『では……街までお願いしてもいいでしょうか?』 私が答えると、ルイ様は満面の笑みを浮かべて頷いた。 「あぁ喜んで。では行こうか」 私たちは街へ向かい並んで歩き始めた。 『ルイ様は穴を掘るお仕事をされてるのですか?』 「いや、すまない。実は穴を開けたのは姉に言われたからなのだ」 『お姉さん?』 「あぁ。わたしには姉がいるのだが、占いが得意でな。 とてもよく当たるのだ。 だが、少々腹黒いところもあり… わざと細かく結果を教えないのだ。 象徴的なことを言い、敢えて何度も占いに来させるのだ。」 『占い師さんなのですか?』 「我が家系は代々魔力が高いものばかりで、父も魔術師、母は魔力はないが、姉も私も魔術師で、姉は副業だと言って占い師として稼いでいるのだ。 一度で結果を教えればよいものを。」 ルイ様から魔力の高いものは貴族に多いことを教わった。 ルイ様も貴族なのだそうだ。 だから所作も綺麗なのだと妙に納得してしまう。 無意識にちらちらとルイ様を見てしまい、気づかれないように慌てて視線をそらす。 「そんな姉が、昨日珍しく私に無料で占いをしてくれたのだ。 その占いの結果が "穴を作れ" だったのだ。 そうすればその……見つかるだろうと」 『何が見つかるのですか?』 「━━待ち人だ。」
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