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歩きスマホで途中何度も人にぶつかりそうになっていたのに。
周りが見えていなかった。
うっすらと靄がかかったように視界が白くなった気がした。
スマホを注視しすぎたせいかもしれないと、ゴシゴシと目をこする。
「あれ?」
瞬きを繰り返しても一向に視界が良くならない。
もしかして目の病気だろうかと動揺しているところに、追い討ちをかけるように、キーと耳鳴りのような音が聞こえてきた。
電車が近づいて来る音にしては耳の奥まで響きすぎる。
身体に異変を感じるものの、アプリのダウンロード完了までの時間が気になる。
スマホの画面をもう一度見ると、地面が光ってることに気づいた。
「っ!」
自分の立っている位置を中心として、見えない誰かによって描かれていくように、光の線が描かれていく。
まるで魔法陣のように不思議な文字のある円陣だった。
直感的に円陣から出るべきだと思い、さやかは一歩踏み出した━━はずだったが、踏み出した足はそのまま地面に吸い込まれて、身体ごと急降下していた。
「ひっ!!」
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