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『待ち人とは何のことでしょうか?』 「待ち人とは私の…コホン。 姉の占いは当たるしその…私もそう言う願望はあるので…」 急に歯切れが悪くなり、ごにょごにょと言い淀むルイ様。 その様子がなんだか可愛くて、思わず笑いが漏れる 『ふふっ』 すると、はたとルイ様は立ち止まり、笑っている私に向き合う。 いけない、 不快にさせてしまったのかもしれない。 「ごめんなさい、その、ルイ様がかわいくて━━」 しまったと思った時には言葉に出した後だった。 謝るつもりが、思わず可愛いなどと余計なことを言ってしまった。 動揺する私の視線を受け止めると、ルイ様は真剣な表情で話し始める。 「私は、今まで女性に言い寄られて苦労してきた。 できるなら外見や家柄ではなく、私自身を 想ってくれる人と出会いたいと願っていた。 それが私の望む、待ち人。 姉に言われたとはいえ、半信半疑で穴を作ってみたが、特に何も起こらなかった。 姉にからかわれたのかと思い、己の鬱憤をはらすようにやみくもに穴を作ってしまった。その際に魔力の加減を誤ったようで深い穴を作ってしまった。 サヤカ……本当にすまなかった。
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