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「サヤカ、途中邪魔が入ったが、私は本気だ。無理強いするつもりはない。だが手放すつもりもない。いきなり私と暮らすのも不安だろう。ひとまず姉の元に行ってもよいだろうか」
『は、はい』
これからルイ様と一緒に暮らすということ…?
目まぐるしく変化する状況に混乱するばかりだ。
そんな動揺する私をルイ様は気遣ってくれる。
こんなに真っ直ぐな好意を向けられたことは初めてかもしれない。
それに、同棲? ということになるんだろうか……
どちらかというと居候になるのかな。
きっとそう、これは単なる居候だ。
期待して傷つくのは嫌。
どう考えても私では釣り合わない
「姉の元へは移動魔法で行こう」
「え?」
返答する間もなく早急にルイ様は私の腰に手を回す。
「えっと、ルイ様?」
何が起こるのか分からずに、ルイ様にされるがまま身を委ねる。
「少しだけ目を閉じてて」
そう耳元で囁かれて言われた通りに目を閉じた。
「もう大丈夫だ」
ゆっくりと目を開けると、私達は大きなお屋敷の入り口に佇んでいた。
『ここは…?』
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