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予兆が現れたとは本当か?」
「えぇ、はい、間違いありません。お急ぎを」
「だが、召喚されていたらどうするのだ」
「えぇ、はい、困りましたな…」
人の話し声が聞こえたかと思うと、勢いよく扉が開かれた。
びっくりして扉へと視線を向けると、ぞろぞろと複数人入室してくるところだった。
その中の1人が近づいてきたかと思うと、座り込んでいる私に手を差し伸べて立ち上がらせてくれた。
放心状態の私に構わずに、初老の男性は場違いな程に陽気に語り始める。
「ようこそアーネティア王国へ。異世界からのご友人。
突然のことで驚かれたことでしょう?
ですがどうか、ご心配なさらず。
あなた様に危害を加えるつもりもありません。ご安心くだされ。
私は師長を務めておりますスタンと申します。
先程予兆が現れまして、あなた様が現れました。
おめでとうございます!
あなた様は、聖女様のお世話係りに選ばれたのです。」
『聖女…様?…』
私は無意識に言葉を反復していた。
魔法使いの衣装のようなロープ姿の老紳士は身振り手振りで意気揚々とはなしつづける。
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