1

6/6

36人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
あなた様には申し訳ないのですが、しばらくこの城に留まっていただきたいと」 初老の方はしきりに額の汗を拭いていた。 演技ではなく、本当に困惑しているようにみえた。 温厚な人に見えるけれど、言ってる事は意味不明だ。 要するに、ここに私を拘束すると言っているようなものだ。  どうしよう… ここがどこなのかも分からないし、とりあえず大人しく従う方がいいのかもしれない。 逃げようとしたら拘束されて監禁されるかもしれない。 『あの……今は何も考えられないので、 少しお時間いただけますか?』 「えぇ、はいそれはもちろん! あなた様もお疲れでしょうし」 「すぐにお部屋へご案内を」 「どうぞこちらへ」 「はい」 数名に取り囲まれるような形で、移動することになった。 騎士の姿を見ると帯剣しているので萎縮してしまう。 けれども予想に反して乱暴な扱いを受けることはなく、客室へと案内された。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加