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気晴らしに散歩ができないか相談してみよう。 いつの間にかここから逃げるという考え自体がなくなっていた。 純粋に少し外の空気を吸いたいと思った。 本人が気付かないうちに洗脳されているとは聞くけれど、自分に限ってそんなことはありえないと妙な自信があった。 『あの、エレナさん、近くを散歩してきてもいいですか?』 私はいつものように、食事を運んできてくれた侍女に声をかけてみた。 「エレナと呼び捨てでお呼び下さい。サヤカ様。 師長さまにお尋ね致しますね」 数名の侍女が私の身の回りの世話をしてくれている。 その中でエレナさんは一番若く、私と同じ20代。 栗色の髪にブルーの瞳を持つエレナさんは、女子力も高い。編み込みや凝った髪型にセットしてくれて、自然に見える落ち着いた風にメイクも施してくれる。 話しかけやすい雰囲気もあるので、主にエレナさんにばかり声をかけていた。 エレナは空になった食器類をワゴンに乗せると、挨拶をして退室して行った。 この国には魔法が存在しており、魔術師と呼ばれる者達がいる。 そのリーダー的存在が最初に対面した初老の男性━━師長様だそうだ。
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