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手に持っていたはずのスマホはどこを探しても見つからなかった。召喚されたという事を信じるならば、その時にこちらの世界へはもって来られなかったのだろう。 ソファーにゆったりと腰掛けて物思いにふけっていると、扉がノックされた。 「サヤカ様、エレナです。 師長さまより許可をいただきました。」 「え? 外に出てもいいんですか?」 「はい。師長様がサヤカ様のお心が少しでも晴れればとおっしゃっていました。」 「ありがとうございます!エレナさん」 サヤカは満面の笑顔でエレナへお礼を伝える。 「もし、サヤカ様さえよろしければ、私もご一緒いたしましょうか?」 「……エレナさん、ごめんなさい。 ちょっと、一人で出かけてみたいので。でも、必ず帰ってきますから、心配しないでください」 「サヤカ様、決して知らない人についていかれませんように。」 「はい、子供ではないんですから大丈夫です。」 心配してくれるエレナさんの見送られて、私は城から出てとりあえずまっすぐに歩いて行く。 聖女様のお世話係として召喚されたというものの、魔法が使えたり何か特別な能力が発揮されたりはしなかった。
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