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ドキドキと うるさいくらいに高鳴る胸の鼓動。 恥ずかしさのあまり 彼の腕の中でくるりと身体を反転させ 胸元に顔を埋めて 真っ赤であろう顔を隠せば クスッと小さく笑みを こぼしながら私の頭を優しく撫でてくれた。 「余裕ないんですね」 「だろうな」 「あれ、否定しないんですか?」 「ああ、事実だからな。どんなに辛く困難な壁でも越える自信はある。でも、俺の唯一の弱点は彼女だから……」 「柊二さん……」 何事にも 自信に満ち溢れていて 弱気なところなんて 今まで一度も見たことなかった。 そんな 完全無欠な 彼の唯一の弱点が私だなんて 嬉しすぎて涙を流さずにはいられなかった。 .
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