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「勝ち目はないってことですね、俺には……」
「今の彼女見たらわかるだろ」
「……あーあ。倉庫で望月が、過去に縛り付けられて前に進めなかったって言いながら泣いた時、まだ間に合うって思ってたんだけどな」
柊二さんに
出会って
恋をしていなかったら
もしかしたら
今とは違う未来があったのかもしれない。
でも
それは単なる
たらればの話で今の私には
柊二さんしかいなくて
他の人が入る余地なんて少しもないから……
「……あの時の俺、なんで望月のこと妹みたいって思ったんだろ。」
「アホだからだろ」
「……鬼課長は、傷心の部下に優しい言葉の一つもかけられないんですか?」
「悪いがそういう優しさは持ち合わせていない。特にキミにはね。」
「……でしょうね。じゃあ、邪魔者はさっさと退散しますよ。」
ひらひらっと
手を振りながら
非常階段を後にした先輩。
さようなら
私の好きだった人……
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