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「ひーよ。なに、いつまでもアホ先輩のこと見てんの」
「ひゃあっ!」
耳を
ペロリと舐められ
声とともに
身体がビクッと反応を示した。
「しかも、俺の腕の中でさ」
「ち、違います!……先輩への気持ちにもう一度お別れしてたんです。気持ちが揺らいだりしないように」
「揺らいだの?」
「揺らいでないですよ。言いましたよね?私の目には柊二さんしか見えないんです」
柊二さんの
胸元に顔を埋めて
大きく息を吸い込めば
鼻腔に届く彼の香りが私に安心感を与えてくれる。
「……柊二さんの香り、私、好きです」
「香りだけ?」
「ふふっ。香りも、もちろん柊二さんも大好きですよ」
くんくんっと
犬のように
柊二さんの匂いを嗅いでいると
私の真似をするように
私の首元に顔を埋めて匂いを嗅いできた。
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