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「わーっ!」 「良かったね、タイミングよく満月で」 「はいっ!」 夜の海って 真っ暗で怖くて正直、少し苦手だった。 でも こうして見ると 全然怖くなんてないし 何より 柊二さんが隣にいてくれるから 安心して夜の海でも何時間でも 目の前に広がる幻想的な景色を見ていられそうな気分だ。 「でも、どうして急に?」 「ん?言ったでしょ、ひよの願いを叶えてあげるって。特別な瞬間を、ひよには特別な場所で迎えてほしくて」 そう言いながら 私の手のひらに何かを置いた。 「なに?」 「見てごらん」 ゆっくりと握らされた 手を開けばそこにはカギがあって 「これ……」 「俺が住んでるマンションの合鍵だよ」 .
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