催眠って……催眠って……

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 肩で息をしてぐったりしている俺に高峰は「解除するよ」と言った。 「10……静かな暗いところに横たわっている……9、8、7……だんだん周囲が明るくなって頭の中に響いていた声が小さくなってくる……」  ぼやんとしたまま高峰の声を聞いていると、どうしても言われたとおりになってしまう。すうっと俺の目は閉じて、まだピリピリした感覚のまま横たわっていた。カウントされてそのたびに目が覚めるような感じがしてくる。 「2……周囲の音がクッキリと聞こえてくる。ほら、外を車が走ってる。1……もう意識はすっかり元の状態になっている。……次に指を鳴らしたらスッキリ目覚めるよ……」  パチンッ  ふっと目を開けるとニヤリとした高峰がいた。  クソやられた……めちゃめちゃ恥ずかしい……何だこれ。ぐちゃぐちゃだ。 「うあぁーー……」 「めっちゃかかるじゃん?」 「うあぁーー……」 「おーい。猶木?」  膝を抱えて顔を伏せて呻いていると、高峰が俺をツンツンと突く。そっと顔を半分だけ持ち上げると少しだけ心配そうな顔をしてる。けど、すぐに眼鏡をクイッと持ち上げて言った。 「やりすぎた? ご意見プリーズ」 「お前はよぉ……」  でも俺は意見を言うのを条件に高峰の家に来てる。忘れちゃいない……いないんだけど。 「ベタベタで気持ち悪くて今は何も言えない……」 「あーね。シャワー使う? スウェットなら貸す。シャツとパンツなら洗濯すれば朝には乾くんじゃね?」 「ジーンズ……」 「それは乾かないだろうから家で洗えよ」  まあ、ジーンズにかけちゃったわけじゃないから……染みた我慢汁はしょうがないから我慢。涙目でシャワーを借りてキュウと縮みこむまで股間に水をかけた。人の眼の前でイッちゃった衝撃は正気に戻った今かなりキツい。  
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