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翌朝、暁にちょっと拗ねてみせたくらい悪くはないだろ。
暁は「悪かったって」なんて言いながらも「まんざらでもないくせに」ってあの俺がゾクリとする視線で見てくる。へーへー、そうですよ。よくおわかりで。
催眠しても毎回必ずヤッてるわけでもないから、ヤるかどうかは完全に暁の気持ち次第だ。
最初の頃、絶対に自分からは踏み込んでこなかったコイツを知ってる俺としたら、ほんと言うと暁から求められるのもちょっと嬉しいんだけど悔しいから言わない。どうせバレてるんだろうしな。
「で? 新作のスクリプトは完成したわけ?」
「まあね。今回もなかなかの自信作。つか、今回のは男性向けと女性向けを同梱!」
「はぁぁ? それで最近ずっとパソコンに向かいっぱなしだったわけ?」
「女子ウケがわからなくて難しかったけど、ドMちゃんなら満足してくれるのでは……と」
ただ、これから女性声優と男性声優、絵師を誰を起用するかとか契約やらなんやらがいっぱいあるから俺にも頑張って動いてもらわないととか言いやがる。そういうのは先に言うもんじゃないのかね。仮にも俺は共同運営者だったはずなんだけど。
「まあまあ、驚く顔が見たかったからワザとだし」
「そういうのいらねぇ」
それからは作品を販売できるモノにしていく俺らの作業が始まる。
暁と俺はきっとこのまま色気もへったくれもない関係が続くんだろう。
でも、俺にとっても唯一無二のコイツを離してやることはできない。逃げようとしたって絶対追いかけて……。
「……義久、ずっと隣にいろよ?」
う……俺の負けだ。
催眠って夢と現の間みたいなもんだけど、催眠をキッカケにした俺たちの関係は夢だけで終わらなかったようだ。
―― END ――
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