催眠ってなんだよ?

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 待て待て待て待て。とんでもない単語出てきたんデスケド? 「だから! 言いたくなかったんだよ! 忘れろ!」 「待ってぇ! 気になるっすっげー気になるからぁ……高峰さまぁ……」  立ち上がって俺に背を向けた高峰にすがりつくと動きを止めてストンとまた座る高峰。また耳赤くなってんな。  しかも俺の想像はドMの女の子向けかと思ってたのに、男向けだった。可愛い声の女性同人声優さんに男をいじりまくる声を当ててもらうんだそうだ。やべぇ、未知の世界……。  いや、その台本? スクリプトを高峰が書いてるって?  ドMの男をイかせる台本を?  なんだそれ……めちゃくちゃ気になるじゃん……。  でも頼み込んでも今書いてるやつってのは次の商品だから見せられないって断固拒否された。冷静に考えたらそうだよな……俺は最初にそれを覗き込んで一部口に出しちゃったんだから、よくまあボコボコにされなかったもんだ。  翌週、高峰に会ったとき「ん」と一枚のディスクを渡された。 「なにこれ?」 「前に販売したやつ。検索とかされたくないからサークル名とかも印刷してないしリードミーテキストも入れてない、けど」 「マジか! 神じゃん」  俺に対して当たりが強いときも多いけど、時々優しい面を見せてくるから高峰はズルい。俺は絶対に家で聞くと約束してディスクを受け取った。そんな俺を高峰は眼鏡を中指でクイッと上げながら見ていた。  その日の夜、俺は高峰の作品を聞いた……。  最初普通に聞こうとしたらイヤホンをしてそのまま寝ても構わない格好で聞くようにとか流れてくるから、急いで寝る支度をしてから聞き直すということになっちまったけどな。  作品は左右の耳から可愛い女の子の声で色々喋りかけられて不思議な気分になった。少しゾワゾワっとした気分にはなったけど、催眠とやらはちょっとわからなかったんだよな。   こういうのを聞いてるだけで本当に催眠状態ってのになるんか? やっぱ素質とか必要なもんなのかねぇ。少なくとも俺は催眠なんてかかることないな。  でも、あの高峰の書いていたカウントダウンも聞いてみて意味がわかった。「ゼロ」っていうのは催眠が深まる合図とかイッていい合図だった。音声の前半で羞恥心を煽ったり焦らしたりの台詞がいっぱい入って、後半でたくさんカウントダウンがある感じ。  つーか、チンコに触らないで絶頂っていうのが俺にはよくわからないんだよな。俺が女の子にいじめられたいって願望ないからかもしれないけど。本当に催眠にかかったやつらはこれでイッてるのか?  
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