催眠って……催眠って……

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催眠って……催眠って……

 お互いのバイトのない日に都合を合わせて高峰の家に行った。とりあえず手土産に菓子とかは買ってみたけど、コイツの好みがさっぱりわかんねぇ。 「狭いけど適当に座って」 「うーい。うお、高峰、ラップトップの他にこんなデスクトップまであんのかよ」 「そりゃ、音声いじるんだからスペックは大事だろ……でも自分で録音するわけじゃないから機材は少ない」 「ふおー……」  パソコンにテンション上がった俺は作品作りの質問だけじゃなくて雑談も交えてやたらと話していた。グループで話すのとは違ってサシで邪魔の入らない環境で誰かと話すのって久しぶりだったんだよな。  時々視線を感じて顔を上げると高峰に観察されているような感じがした。でも俺を観察したところで意味もないだろうなんて思った……んだけど、さ。 「いや、人間観察は趣味だよ。作品を作るのには必要だろ」 「でも俺の観察なんて意味なくね?」 「んー興味深いね。最近、猶木は実は逸材じゃないかと……」  高峰はいつの間にかピザを注文していて、それが届くと冷蔵庫の中から1本ずつしかないけどなんて言いながら缶チューハイを出してきた。  なんていうか、最初の出会いもかしこまったもんでもなかったし、高峰はズケズケ言うしって感じだったからかコイツといるのは楽だった。  度数強めのチューハイで俺はいい感じにほろ酔いに。酔ってるというほどでもなく、でもアルコールなしよりは心なしか開放的になっていて。 「人間観察の話の続きだけどさ。猶木って、実はMっ気あるよね」 「へ?」 「無意識か……ふーん」 「えー、ないない。Mって痛いことされたいみたいなやつだろ? 女の子にいじめられたいとか思ったことないし、アレもかかんなかったし」  あははーなんて笑って答えたけど、高峰にじっと見られていてちょっとだけ胸がカッとする。アルコールのせいかもな。 「それでなんだけどさ。質問に答える代わりに意見欲しいって言ったの覚えてる?」 「もちろん。言うよ言う言う」 「じゃ、ちょっと横になってみ?」 「はぇ?」 「新作について意見を聞きたいからまずは聞けって言ってんの」  いや、だって、高峰は自分で音声はやってないんだろとか言う俺を、「約束守れ」と半ば強引に寝かせると、部屋の電気を薄暗くして隣で高峰が喋りだす。 「聞き終わったら意見を言うんだから集中して聞くように」 「へーい」  俺はほんのりアルコールの回った頭で寝ないようにしなきゃと思った。  こないだ借りたディスクと同じで深呼吸を勧められる。あの音声は女の子の台詞に合わせて深呼吸をさせられた感じだったけど、今は俺の様子を見ながら高峰が良いタイミングで吸って吐いてと指示を出してくれる。それが断然楽だった。  あとなんといっても声。女の子の高い声じゃなくて低めの高峰の良い声が響く。  
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