復讐の始まり

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日曜日、美音の住んでいるマンションに遊びにきた。 「お姉ちゃんっ 会いたかったぁっ」 扉が開けられた瞬間抱きついてくる美音。 クスリと笑ってわたしは妹の頭を撫でる。 「想夜は私からのプレゼントを 喜んでくれたみたいね。良かったわ」 「うん! もう大喜びで!  ありがとう! お姉ちゃん」 私から体を離した美音は嬉しそうに笑う。 まさに天真爛漫だ。 あの頃とはまるで違う。 やはり結婚して幸せになったからだろうか。 あの出来事を思い出し、暗い気持ちになる。 こんなこと、美音には言えないわよ。 「お姉ちゃん?どうしたの?」 可愛らしく首を傾げる美音に わたしは笑顔をつくった。 「ううん。なんでもないわ。 それより、想夜と聡太さんは?」 今度は美音が悲しげな表情になった。 「想夜は、疲れたみたいで寝かせてるの。 聡太さんは…実はここ何日か帰ってきてなくって」 「そうなの…」 確定したわね、聡太さんの浮気。 美音に勧められて部屋に入り、話を聞くと、 出張だと言って聡太さんは 出かけて行ったきりらしい。 でも寝室にはキャリーケースが 置きっぱなしになっているのだと言う。 しかもメッセージも既読スルー。 隠蔽工作が杜撰すぎるわよ。 わたしは軽くため息をついた。 「ねぇ、お姉ちゃんも浮気だと思う?」 「う、うぅん、どうなのかしら…」 証拠写真を持っているとは言えない。 俯く美音に、わたしは元気づけるように言う。 「美音、聡太さんはあなたの旦那でしょ? 信じてあげなくてどうするの?」 「そうだけど…」 「大丈夫よ、聡太さんは美音が選んだ人なんだから」 「…そっか、そうだよね…… お姉ちゃん、ありがとう! なんか元気出てきた!」 美音は勢いよく立ち上がり明るい顔を見せた。 我が妹ながらなんて単純な…。 でもそこが美音のいいところでもあるわね。 わたしはにっこり笑ったのだった。
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