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地獄の始まり
あれから何日か過ぎ、
図書館から帰宅している途中、聡太さんと
あの女を見かけたので尾行することにした。
聡太さんと女は仲睦まじく腕を組んで歩いている。
しばらくするとある建物の中に入っていった。
どうやらラブホテルのようだ。
美音という妻がいながら…。
舌打ちしたくなる。
わたしは二人の姿を写真に収め、踵を返した。
いつかは、美音に聡太さんの浮気はバレるだろう。
美音が深く考えない性格だから
まだバレていないだけ。
隠していてもどうして黙っていたのかと
責められるだろう。
だから、あるイベントで二人の愚行を
晒そうと思っているのだ。
美音には申し訳ないけど、
あなたにはもっといい人がいるはずよ。
そのためには準備が必要だ。
あの女の部屋にも盗聴器を取り付けておいた。
いい仕事をしてくれることだろう。
と、思っていたが予定より早く事件は起こった。
親友のもとへ息子と遊びにきた美音が
不倫現場を目撃してしまったのだ。
玄関を開けたら想夜と
手を繋いで泣いていたから
驚いた。
「どうしよう、お姉ちゃん。聡太くん
里佳と浮気してた。もう何も信じられないよ」
机に突っ伏す母を見て想夜はキャハハと
無邪気に笑う。
可哀想な美音。
わたしは美音を優しく抱きしめる。
妹を傷つけるアイツが許せない。
「美音、大丈夫よ。お姉ちゃんが
アイツを懲らしめてやるからね」
泣きじゃくる美音には聞こえていないだろう。
でもそれでいい。
わたしが今からやろうとしていることに気づいたら
美音はきっと止める。だからこれでいい。
聡太さん、あなたはもうすぐ地獄へ落ちるわよ。
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